Transeeds Inc.が再生医療×DNA合成を応用した自己修復する未来のスニーカー「Heal Sneaker」を公開

2025年の大阪・関西万博が開幕し、世界中から注目を集めています。特に話題となっているのが、再生医療技術とDNA合成を組み合わせた革新的な展示の数々。
自己修復するスニーカーや人工宇宙人など、SFの世界が現実になったような展示に多くの来場者が驚きの声を上げています。今回は、万博で公開されている最先端テクノロジーの数々をご紹介します。
大阪・関西万博で公開される革新的テクノロジー

2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、「いのちを設計する」をテーマに、最先端の科学技術や文化が集結する一大イベントとなっています。155ヘクタールという広大な会場には、世界約160カ国からの参加国や企業が集まり、未来社会のあり方を提案しています。
万博会場は「グランドルーフリング」と呼ばれる全長2キロメートルの円形の通路で結ばれており、この通路を中心に8つのゾーンに分かれています。「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」という3つのサブテーマに沿った展示が行われ、来場者は未来の社会や生活を体験することができます。
「LOM BABY」が手がける未来型展示の全貌
万博の中でも特に注目を集めているのが、クリエイティブコレクティブ「LOM BABY」による展示です。Transeeds Inc.が主宰するこのグループは、再生医療とDNA合成技術を駆使した革新的なプロジェクトを世界初公開しています。
LOM BABYの展示では、生成AIと3Dプリンターを組み合わせた没入型の空間が来場者を迎えます。巨大な3Dスクリーンは来場者の動きを感知し、リアルタイムでインタラクティブな映像を生成。最先端テクノロジーを駆使したイマーシブアニメーションが、未来の体験型展示の可能性を広げています。
この展示空間では、「Heal Sneaker」「人工宇宙人(AA)」「龍肉」という3つの革新的なプロジェクトが紹介されています。いずれも再生医療技術やDNA合成技術を応用した、これまでにない発想の製品やサービスです。
自己修復する未来のスニーカー「Heal Sneaker」

「Heal Sneaker」は、再生医療技術を応用した世界初の自己修復スニーカーです。このスニーカーの最大の特徴は、歩くだけで自己修復する素材を使用している点にあります。
通常のスニーカーは使用するにつれて劣化していきますが、Heal Sneakerは素材自体が細胞のように再生する能力を持っています。そのため、履けば履くほど新品同様の状態を保つことができるのです。これにより、スニーカーの寿命が大幅に延び、廃棄物の削減にもつながります。
東京は世界有数のスニーカー市場として知られていますが、世界中で年間約230億足もの靴が生産され、そのうち約4分の1がスニーカーだと言われています。多くの使用済みスニーカーは埋立地に廃棄され、分解には30〜40年もの時間がかかります。
Heal Sneakerは、このような環境問題に対する解決策の一つとなる可能性を秘めています。再生医療技術を応用することで、持続可能なファッションの新たな形を提案しているのです。
歩くだけで新品同様に!再生医療技術の驚くべき応用
Heal Sneakerの開発を手がけたTranseeds Inc.によると、このスニーカーは「回復スニーカー」と呼ばれ、履き手が歩行するたびに自己修復機能が働きます。素材自体が細胞のように再生するため、長期間使用しても新品同様の状態を維持できるのです。
再生医療技術は、本来は人体の組織や臓器の修復・再生を目的としたものですが、それを日常的な製品に応用した点が革新的です。この技術により、スニーカーの寿命が大幅に延び、廃棄物の削減にもつながります。
環境にやさしい革新的素材の秘密
Heal Sneakerに使用されている素材は、環境にも配慮されています。従来のスニーカーはナイロンや合成ゴム、プラスチックなどの素材で作られていることが多く、分解に長い時間がかかります。
一方、Heal Sneakerの素材は生分解性が高く、使用後の環境負荷も小さいとされています。また、自己修復機能により製品の寿命が延びることで、新たなスニーカーの生産数を減らすことができ、資源の節約にもつながります。
このように、Heal Sneakerは単なるファッションアイテムではなく、環境問題や持続可能性に対する新たなアプローチを示す製品と言えるでしょう。
DNA合成が生み出した「人工宇宙人(AA)」
LOM BABYの展示でもう一つ注目を集めているのが、「人工宇宙人(Artificial Alien=AA)」です。これはDNA合成技術を応用して創られた新しい生命体(DNAフィギュア)で、人間の感情やコミュニケーションにリアルタイムで反応する能力を持っています。
人工宇宙人は、バイオテクノロジーの最先端を行く展示として多くの来場者の関心を集めています。従来の人工知能やロボットとは異なり、生物学的な要素を持つ新しい形のコミュニケーション媒体として開発されました。
感情を読み取り交信する不思議な生命体
人工宇宙人の最大の特徴は、人間の感情を読み取り、それに応じた反応を示す点にあります。来場者の表情や声のトーンを分析し、適切なレスポンスを返すことができるのです。
例えば、来場者が笑顔で近づくと喜びの反応を示したり、悲しそうな表情をすると慰めるような動きをしたりします。このような感情的なコミュニケーションは、従来のAIやロボットでは難しかった部分です。
未来型コミュニケーションを体験できる展示の仕組み
人工宇宙人とのコミュニケーションは、専用のインターフェースを通じて行われます。来場者は特殊なデバイスを装着し、人工宇宙人との対話を楽しむことができます。
このシステムでは、言語だけでなく、感情や意図といった非言語的なコミュニケーションも可能です。これにより、言葉の壁を超えた新しいコミュニケーションの形が実現しています。
人工宇宙人の展示は、未来の人間とAIの関係性や、生命とは何かという根本的な問いを投げかけるものとなっています。技術の進化によって、私たちのコミュニケーションや生命に対する概念がどのように変わっていくのか、考えるきっかけを与えてくれるでしょう。
想像が現実に!「龍肉」の革新的フードテクノロジー
LOM BABYの展示の中で、食の未来を提案しているのが「龍肉」です。これはDNA合成技術を用いて、伝説上の生き物である「龍」の肉を再現したというユニークな展示です。
「龍肉」は、2024年に東京・国立新美術館で開催された展示会でも話題となったバイオアート作品です。想像上の生き物を食べるという体験を通じて、食の可能性や倫理について考えるきっかけを提供しています。
DNA合成で伝説の生き物を食卓に
「龍肉」は、実際には存在しない生物のDNAを合成技術によって創り出すという発想から生まれました。もちろん、本物の龍のDNAがあるわけではないので、既存の動物や細菌のDNAを組み合わせて新たな生命体を創造しています。
この技術は、培養肉の研究開発にも応用されています。培養肉とは、動物を屠殺せずに細胞から肉を作り出す技術で、環境負荷の低減や動物福祉の観点から注目されています。
食料自給率向上に貢献する新たな食文化の提案
「龍肉」の展示は、単なる好奇心を満たすものではなく、日本の食料自給率向上という課題に対する提案でもあります。日本の食料自給率はカロリーベースで約38%と先進国の中でも低い水準にあり、食料安全保障の観点から課題となっています。
DNA合成技術や培養肉技術の発展により、従来の農業や畜産に依存しない新たな食料生産の方法が実現すれば、食料自給率の向上につながる可能性があります。また、環境負荷の低減や動物福祉の向上にも貢献するでしょう。
「龍肉」の展示は、このような未来の食のあり方について考えるきっかけを提供しています。想像上の生き物を「食べる」という体験を通じて、食の可能性や倫理について考えることができるのです。
没入型展示空間で体験する未来
LOM BABYの展示では、展示物だけでなく、展示空間自体も未来的な体験を提供しています。生成AIと3Dプリンターを組み合わせた没入型の空間が来場者を迎え、新しい体験の形を提案しています。
生成AIと3Dプリンターが創り出すインタラクティブな世界
展示空間では、3Dプリンターで造形された巨大スクリーンが設置されています。このスクリーンは単なる映像表示装置ではなく、生成AIと連動して来場者の動きや反応に応じたコンテンツを生成します。
例えば、来場者がスクリーンの前で手を振ると、その動きに合わせて映像が変化したり、新たなコンテンツが生成されたりします。これにより、一方的に見るだけの展示ではなく、来場者が積極的に参加できるインタラクティブな体験が実現しています。
来場者の動きに反応する最先端イマーシブ技術
この展示空間では、来場者の動きや位置をセンサーで検知し、それに応じて空間全体が変化します。壁面や床面に投影される映像が来場者の動きに合わせて変わったり、音響効果が変化したりすることで、まるで別の世界に入り込んだような感覚を味わうことができます。
このようなイマーシブ(没入型)技術は、エンターテインメントの分野だけでなく、教育や医療、ビジネスなど様々な分野での応用が期待されています。例えば、遠隔地にいる人々が同じ仮想空間で会議を行ったり、複雑な医療手術のシミュレーションを行ったりすることができるようになるでしょう。
LOM BABYの展示は、このような未来のコミュニケーションや体験の形を先取りしたものと言えます。技術の進化によって、私たちの生活や社会がどのように変わっていくのか、体験を通じて考えるきっかけを与えてくれるのです。
大阪・関西万博の開催概要
大阪・関西万博は2025年4月13日から10月13日までの184日間にわたって開催されています。会場は大阪市此花区の人工島「夢洲(ゆめしま)」で、約155ヘクタールの広大な敷地に様々なパビリオンや施設が建設されています。
開催期間と主要展示エリア
大阪・関西万博の開催期間と主要情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博) |
開催期間 | 2025年4月13日〜10月13日(184日間) |
開催場所 | 大阪市此花区夢洲(ゆめしま) |
会場面積 | 約155ヘクタール |
テーマ | いのちを設計する(Designing Future Society for Our Lives) |
サブテーマ | いのちを救う、いのちに力を与える、いのちをつなぐ |
想定来場者数 | 約2,800万人 |
参加国・地域数 | 約160カ国・地域 |
会場は8つのゾーンに分かれており、それぞれ異なるテーマや体験を提供しています。
- いのちをつなぐゾーン
- いのちに力を与えるゾーン
- いのちを救うゾーン
- 静けさの森ゾーン
- シグネチャーゾーン
- 未来生活ゾーン
- 西ゲートゾーン
- 東ゲートゾーン
これらのゾーンを「グランドルーフリング」と呼ばれる全長2キロメートルの円形の通路が結んでいます。このリングは木造建築としてギネス世界記録に認定されており、日本の伝統的な「貫(ぬき)」工法を現代的に応用した建築技術が用いられています。
注目の展示と体験スポット
大阪・関西万博では、各国のパビリオンや企業パビリオン、テーマパビリオンなど、様々な展示が行われています。その中でも特に注目を集めているのが、最先端技術を駆使した体験型の展示です。
例えば、シグネチャーパビリオン「null²」では、デジタル技術を駆使して自然と人間の調和を表現した展示が行われています。来場者の身体がデジタル化され、有機的に変化しながら自律的に動く姿とインタラクションする体験ができます。
また、イギリスのパビリオンでは、最先端のプロジェクションマッピングやインタラクティブな仕掛けを用いた「Come Build the Future Exhibition」が行われています。20分間の没入型ジャーニーを通じて、イギリスと日本の創造的な文化や協働の精神を体験できます。
さらに、大阪ヘルスケアパビリオンでは「未来への門」と題した体験が提供されています。来場者は自分のパーソナルヘルスレコード(PHR)を生成し、バーチャルリアリティで未来の自分と対話することができます。また、個人の健康プロファイルに合わせた「未来の食」や「未来のヘルスケア」も紹介されています。
このように、大阪・関西万博では単に展示を見るだけでなく、来場者自身が参加し体験できるコンテンツが充実しています。未来の社会や生活を体感することで、私たちがどのような未来を創っていきたいのか、考えるきっかけを与えてくれるでしょう。
まとめ:未来技術が切り拓く新たな可能性
大阪・関西万博で公開されている再生医療技術とDNA合成を応用した展示は、私たちの未来の生活を大きく変える可能性を秘めています。自己修復するスニーカーや感情を読み取る人工宇宙人、想像上の生き物を食べるという体験は、技術の進化によって私たちの常識が覆される可能性を示しています。これらの革新的なテクノロジーは、環境問題や食料問題、コミュニケーションの課題など、さまざまな社会課題の解決につながる可能性を秘めています。
大阪・関西万博は、単なる展示会ではなく、未来社会の実験場としての役割を担っています。ここで紹介された技術やアイデアが、これからの社会をどのように変えていくのか、私たち一人ひとりが考えるきっかけとなるでしょう。
万博は10月13日まで開催されています。未来の技術を体験できる貴重な機会ですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
Transeeds Inc. : https://transeeds.com