関西国際空港第1ターミナル、大阪・関西万博に向け7年越しの大規模リニューアルが完了

関西国際空港の第1ターミナルが2025年3月27日、大阪・関西万博を目前に控え、グランドオープンを迎えました。世界的な建築設計会社POPULOUSと関西エアポートが7年以上の歳月をかけて取り組んだこのリニューアルプロジェクトは、国際線旅客の受入能力を大幅に拡大し、旅行者の体験を向上させる画期的な取り組みとなっています。
関西国際空港第1ターミナルのリニューアル概要

2025年3月27日にグランドオープン
関西国際空港の第1ターミナルビルは、1994年の開港以来初となる大規模なリノベーション工事を経て、2025年3月27日に晴れてグランドオープンを迎えました。このリニューアルは「国際線キャパシティの拡大」「エアサイドエリアの充実」「旅客体験の向上」を基本コンセプトとして進められてきました。
国際線旅客受入能力を4000万人に拡大
リニューアルによって関西国際空港全体の国際線旅客受入能力は年間約4000万人(出入国合計)まで拡大しました。これにより、大阪・関西万博を契機に増加が予想される航空需要にも十分対応できる体制が整いました。
POPULOUSと関西エアポートによる7年間のプロジェクト
このプロジェクトは、世界的な建築設計会社POPULOUSと関西エアポートが7年以上の歳月をかけて取り組んできました。POPULOUSのシニアプリンシパル兼ディレクターのブレット・ワイトマン氏は、既存のインフラを最大限に活用しながら、商業的リターンを最大化することを目指したと述べています。
リニューアルの主な特徴
国際線セキュリティチェックポイントの拡張と集約
これまで分散していた国際線の保安検査場を4階に集約し、大幅に拡張しました。処理能力は時間あたり約4,500人から6,000人へと向上し、保安検査場の面積も約3,500平方メートルから6,300平方メートルへと拡大しています。
国際線ラウンジの拡充
国際線出発エリアには、新しい航空会社共用ラウンジが設置されました。広々とした空間で、快適な待ち時間を過ごすことができます。
到着時免税店の新設
国際線到着エリアにも新たに免税店がオープンしました。「KIX DUTY FREE Arrival Shop South」と「KIX DUTY FREE Arrival Shop North」が第1ターミナルビル3階の国際線到着商業エリアに設置され、到着した旅行者も買い物を楽しむことができるようになりました。
日本最大級のウォークスルー免税エリア
国際線出発エリアには、日本の空港では最大級となる2,500平方メートルのウォークスルー免税店がオープンしました。200以上のブランドを取り揃え、化粧品や香水、高級酒、日本のお土産菓子など、幅広い商品を提供しています。
リニューアル工事の段階的実施
第1フェーズ:2022年10月の国内線エリアオープン
リニューアル工事は空港の運営を継続しながら進めるため、4段階に分けて実施されました。第1フェーズとして2022年10月26日に新しい国内線エリアがオープンし、国内線保安検査場の集約や6つの新店舗の追加、ANAとJALのラウンジ利用者向けの新ラウンジがオープンしました。
第2フェーズ:2023年12月の国際線出発エリアオープン
第2フェーズは2023年12月5日に完了し、北と南に分かれていた出国エリアが中央に集約されました。また、日本の空港では最大級となる2,500平方メートルのウォークスルー免税店や、日本の雰囲気を取り入れた広々とした待合エリア「PLAZA」が導入されました。
第3フェーズ:2025年3月の主要機能完成とグランドオープン
第3フェーズは2025年3月27日に完了し、保安検査エリアの統合と拡張が行われました。これにより、大阪・関西万博の開幕前に主要機能の工事が完了し、グランドオープンを迎えることができました。
施設の機能性向上
処理能力の強化(時間あたり4,500人から6,000人へ)
保安検査場の拡張により、処理能力が時間あたり約4,500人から6,000人へと向上しました。これにより、万博期間中の混雑時にも円滑な旅客処理が可能となります。
セキュリティエリアの拡張(3,500㎡から6,300㎡へ)
保安検査場の面積は約3,500平方メートルから6,300平方メートルへと拡大し、より快適な空間となりました。
新設された国際線ラウンジの規模
新設された国際線ラウンジは広々とした空間を提供しています。
ラウンジ名 | 面積 | 座席数 |
---|---|---|
KIXラウンジプレミアム | 約800㎡ | 143席 |
KIXラウンジ関西 | 約2,970㎡ | 658席 |
商業施設の充実
新設された免税店と商業エリア
国際線出発エリアには、27の新しい店舗がオープンしました。エルメスやシャネルなどの高級ブランド、有名な子供服ブランドのミキハウス、空港限定商品を販売するお土産店「関西旅日記」、家電店「Japan Tech」、フィギュアやプラモデルを扱う「Anime hunt」などが揃っています。
日本の雰囲気を取り入れた「PLAZA」待合エリア
国際線出発エリアには、日本の雰囲気を取り入れた広々とした待合エリア「PLAZA」が設けられました。ここでは、出発前のひとときをくつろいで過ごすことができます。
4つの異なるムードエリアによる買い物体験
国際線出発エリアには、4つの異なる雰囲気を持つ「ムードエリア」が創出され、小売店やレストランが配置されています。それぞれ特色のある空間で、多様な買い物体験を楽しむことができます。
大阪・関西万博との連携
万博期間中の訪日外国人対応
大阪・関西万博の開催に合わせて、関西国際空港では訪日外国人旅行者の受け入れ体制を強化しています。第1ターミナルビル1階には万博に関する情報発信のためのPRブースも設置され、環境の取り組みや西日本の観光情報を体験型コンテンツで紹介しています。
効率的な旅客フロー管理システム
新しい待ち行列管理システムは日本初の試みで、リアルタイムの旅客流データを活用してフラッパーゲートを自動制御し、待ち行列を切り替えることができます。このシステムにより、旅客数とその流れに基づいて自動的に保安検査レーンへ誘導されるようになりました。
最新のゲート割り当て最適化技術
最新の技術を活用し、ゲート割り当ての最適化も図られています。これにより、航空機の到着・出発がより効率的に行われるようになりました。
まとめ
関西国際空港第1ターミナルの大規模リニューアルは、国際ハブ空港としての機能を大幅に強化しました。国際線旅客受入能力の拡大、保安検査場の拡張、商業施設の充実など、多岐にわたる改善が行われています。大阪・関西万博を控え、関西の国際的な玄関口としての役割がさらに高まることが期待されます。
引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF126HJ0S5A310C2000000/