移動平均線だけで勝てる?シンプル手法の検証と実例

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FX取引や株式投資において、シンプルな分析ツールとして多くのトレーダーに愛用されている移動平均線。「複雑な指標よりもシンプルな手法の方が効果的」という声もある一方で、「移動平均線だけで本当に勝てるのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。

移動平均線は過去の価格の平均値を線で表したもので、相場のトレンドを視覚的に捉えやすくする指標です。特に初心者にとっては、複雑な計算や難解な理論を必要としないため、取り組みやすい分析手法と言えます。

この記事では、移動平均線の基本から実践的な活用法まで、中学生でも理解できるように解説します。シンプルな手法だからこそ効果を発揮する場面や、逆に注意すべき点なども含めて、移動平均線だけで勝つための知識を深めていきましょう。

2025年5月現在の相場環境も踏まえながら、実際のチャートを参考に具体的な事例も紹介します。難しい専門用語はできるだけ避け、わかりやすく説明していきます。

目次

移動平均線の基本を理解しよう

移動平均線は、一定期間の価格の平均値を線で結んだものです。この単純な指標が、なぜ多くのトレーダーに支持されているのでしょうか。

移動平均線とは何か

移動平均線は、ある一定期間の価格の平均値を計算し、それを線で結んだものです。例えば5日移動平均線なら、直近5日間の終値を合計して5で割った値を日々計算し、それを線で結びます。1月5日の値は1月1日から5日までの平均、1月6日の値は1月2日から6日までの平均というように、計算する期間が日々移動していくことから「移動平均線」と呼ばれています。

この指標の最大の特徴は、価格の細かな変動を平滑化して、全体的なトレンドを見やすくすることです。日々の価格変動に一喜一憂するのではなく、相場の大きな流れを把握するのに役立ちます。チャート上に線のみを表示するシンプルさも、初心者にとって理解しやすい理由の一つです。

なぜ多くのトレーダーが移動平均線を使うのか

移動平均線が広く使われる理由は、そのシンプルさと有効性にあります。複雑な計算式や難解な理論を必要とせず、チャート上で視覚的に判断できるため、初心者から上級者まで幅広く活用されています。

また、多くのトレーダーが同じ指標を見ているという点も重要です。相場は参加者の心理によって動くものですから、多くの人が注目する指標ほど、その水準で実際に売買が発生しやすくなります。特に5日、20日、50日、200日などの「キリのいい」期間の移動平均線は、多くのトレーダーが参照するため、その線が支持線や抵抗線として機能することがよくあります。

単純移動平均線(SMA)と指数移動平均線(EMA)の違い

移動平均線には主に2種類あります。単純移動平均線(SMA)と指数移動平均線(EMA)です。

単純移動平均線は、設定した期間の価格を単純に平均したものです。例えば10日SMAなら、過去10日間の終値をすべて足して10で割るだけです。計算がシンプルで理解しやすいのが特徴です。

一方、指数移動平均線は、直近の価格により大きな比重(ウェイト)をかけて計算します。これにより、最新の価格変動により敏感に反応するため、トレンドの変化をSMAよりも早く捉えることができます。ただし、その分ノイズ(無意味な価格変動)にも反応しやすくなるというデメリットもあります。

どちらが優れているというわけではなく、トレードスタイルや相場環境に応じて使い分けるのが良いでしょう。長期投資家はSMAを、短期トレーダーはEMAを好む傾向があります。

移動平均線だけのシンプルな取引手法

移動平均線を使った取引手法はシンプルながらも効果的です。ここでは基本的な手法を紹介します。

クロスオーバー手法の仕組み

クロスオーバー手法は、移動平均線を使った最も基本的な取引手法の一つです。この手法では、異なる期間の移動平均線が交差するタイミングで売買のシグナルを得ます。

例えば、短期の移動平均線(5日や10日)と中期の移動平均線(20日や50日)を組み合わせるのが一般的です。短期線が中期線を下から上に抜けると買いシグナル、上から下に抜けると売りシグナルとなります。

この手法の利点は、トレンドの変化を客観的に捉えられることです。感情に左右されず、システマティックに取引できるため、特に初心者には向いています。ただし、相場がレンジ相場(一定の範囲内で上下する相場)の時には、誤ったシグナルが多く出る傾向があるので注意が必要です。

ゴールデンクロスとデッドクロスの見分け方

ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜ける現象です。これは上昇トレンドへの転換を示す買いシグナルとされています。名前の通り、トレーダーにとって「黄金」のような価値ある機会と考えられています。

反対に、デッドクロスは短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜ける現象で、下降トレンドへの転換を示す売りシグナルです。「死」を連想させる名前の通り、保有ポジションを手放すべき時と考えられています。

これらのクロスを見分けるコツは、クロス発生時の全体的な相場環境も考慮することです。例えば、長期的な上昇トレンドの中で発生したデッドクロスは、一時的な調整の可能性もあります。逆に、長期的な下降トレンドの中でのゴールデンクロスも、一時的な反発にすぎないことがあります。

トレンド確認に使う移動平均線の傾き

移動平均線の傾きは、トレンドの強さを判断する重要な要素です。単にクロスの発生だけでなく、移動平均線自体の傾きを確認することで、より精度の高い判断ができます。

上昇トレンドでは移動平均線が右肩上がりになり、下降トレンドでは右肩下がりになります。傾きが急であるほどトレンドが強いことを示しています。逆に、移動平均線がほぼ水平になっている場合は、相場がレンジ相場に入っている可能性が高いです。

特に注目すべきは、複数の期間の移動平均線がすべて同じ方向に傾いているかどうかです。例えば、5日、20日、50日の移動平均線がすべて右肩上がりであれば、強い上昇トレンドと判断できます。逆に、短期線だけが上向きで長期線が下向きの場合は、一時的な反発の可能性が高いでしょう。

移動平均線の期間設定が重要

移動平均線を効果的に使うためには、適切な期間設定が欠かせません。期間によって特性が大きく変わるからです。

短期・中期・長期の移動平均線の特徴

移動平均線は一般的に、短期・中期・長期の3つに分類されます。それぞれに特徴があり、用途も異なります。

短期移動平均線(5日、10日、12日など)は、直近の価格変動に敏感に反応します。価格の変化にすぐについていくため、トレンドの初期段階を捉えるのに適しています。ただし、ノイズにも反応しやすいため、誤ったシグナルも出やすいという特徴があります。

中期移動平均線(20日、25日、50日、75日など)は、短期的なノイズを除去しつつ、中期的なトレンドを捉えます。多くのトレーダーが参照する20日や50日移動平均線は、重要な支持線・抵抗線として機能することが多いです。

長期移動平均線(100日、144日、200日など)は、長期的な相場の方向性を示します。特に200日移動平均線は、機関投資家も重視する指標で、この線を上回っているか下回っているかで、長期的な相場環境を判断することができます。

相場環境に合わせた期間の選び方

移動平均線の期間設定は、取引するタイムフレームや相場環境によって調整する必要があります。

短期トレードを行う場合は、より短い期間の移動平均線が有効です。例えば、1分足や5分足のチャートでスキャルピングを行う場合、5日や10日の移動平均線では反応が遅すぎるため、5期間や10期間といった設定が適しています。

一方、スイングトレードや中長期投資を行う場合は、より長い期間の移動平均線が適しています。日足チャートで20日、50日、200日の組み合わせや、週足チャートで10週、30週、50週といった設定が一般的です。

また、相場のボラティリティ(価格変動の大きさ)によっても調整が必要です。ボラティリティが高い相場では、やや長めの期間設定にすることで、無駄なシグナルを減らすことができます。

200日移動平均線の特別な意味

200日移動平均線は、特別な意味を持つ移動平均線として知られています。約10ヶ月分の取引日をカバーするこの指標は、長期的な相場の方向性を判断する上で重要な基準となります。

多くの機関投資家やプロトレーダーが200日移動平均線を重視しており、価格がこの線を上回っていれば「強気相場」、下回っていれば「弱気相場」と判断されることが多いです。2025年5月現在の日経平均も、200日移動平均線との関係が注目されています。

また、200日移動平均線は強力な支持線・抵抗線として機能することが多く、価格がこの線に接近すると反発することがよくあります。特に株式市場では、200日移動平均線を割り込んだ後に再び上抜けると、強い上昇につながることがあります。

逆に、長く200日移動平均線の上にあった価格がこの線を下抜けると、トレンド転換のシグナルとして捉えられ、大きな下落につながることもあります。

移動平均線だけで本当に勝てるのか

移動平均線のみを使った取引は可能なのでしょうか。そのメリットと限界を見ていきましょう。

シンプル手法のメリット

移動平均線だけを使ったシンプルな手法には、いくつかの明確なメリットがあります。

まず、理解しやすく実践しやすいという点です。複雑な指標や理論を学ぶ必要がなく、「線が交差したら売買する」といったシンプルなルールで取引できるため、初心者でも取り組みやすいでしょう。

また、客観的な判断ができるという利点もあります。感情に左右されず、あらかじめ決めたルールに従って機械的に取引できるため、感情的な判断ミスを減らすことができます。

さらに、チャートが煩雑にならないという利点もあります。多くの指標を表示すると、チャートが複雑になり判断が難しくなることがありますが、移動平均線だけなら画面をすっきりと保ったまま分析できます。

シンプル手法の限界点

一方で、移動平均線だけに頼る手法には限界もあります。

最大の限界は、移動平均線が「遅行指標」であるという点です。過去の価格から計算されるため、必然的にトレンドの変化を後追いすることになります。そのため、トレンド転換の初期段階でエントリーすることは難しく、利益の一部を逃してしまう可能性があります。

また、レンジ相場(価格が一定の範囲内で上下する相場)では、移動平均線が頻繁にクロスして誤ったシグナルが多発する傾向があります。このような相場環境では、移動平均線だけでは効果的な取引が難しくなります。

さらに、急激な価格変動や予期せぬニュースによる相場の急変には対応しきれないという弱点もあります。移動平均線は過去の価格を基に計算されるため、突発的なイベントには後手に回りがちです。

移動平均線が効果を発揮する相場環境

移動平均線が最も効果を発揮するのは、明確なトレンドが形成されている相場環境です。

上昇トレンドや下降トレンドがはっきりしている場合、移動平均線は非常に有効な指標となります。特に、トレンドの途中で発生する一時的な調整局面からの反転を捉えるのに適しています。例えば、上昇トレンド中の調整で価格が移動平均線まで下落し、そこから再び上昇に転じるパターンは、移動平均線を使った取引の好機となります。

また、長期的なトレンドフォロー戦略との相性も良いです。200日移動平均線などの長期線を基準に、大きなトレンドの方向に沿った取引を行うことで、大きな利益を狙うことができます。

ただし、相場が方向感を失いレンジ相場に入った場合は、移動平均線の有効性は低下します。このような環境では、他の指標と組み合わせるか、一時的に取引を控えるなどの対応が必要でしょう。

実例で見る移動平均線取引の成功パターン

理論だけでなく、実際のチャートで移動平均線を使った取引の成功パターンを見ていきましょう。

ドル円での移動平均線活用例

ドル円は多くの日本人トレーダーが取引する通貨ペアです。ここでは、移動平均線を使った実際の取引例を見てみましょう。

2025年初頭のドル円相場では、5日と20日の移動平均線を組み合わせた取引が効果的でした。1月中旬に5日移動平均線が20日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが発生し、その後約1ヶ月間の上昇トレンドが続きました。この間、一時的な調整で価格が5日移動平均線まで下落した場面が数回ありましたが、そこから再び上昇に転じるパターンが繰り返されました。

また、長期的な視点では、2024年後半から2025年初頭にかけて、ドル円が200日移動平均線を上回って推移していたことが、強気相場の証拠となっていました。この期間中、200日移動平均線は強力な支持線として機能し、何度か価格がこの線まで下落しても、そこから反発するパターンが見られました。

このように、複数の期間の移動平均線を組み合わせることで、短期的な売買タイミングと長期的な相場環境の両方を把握することができます。

ユーロドルでの移動平均線活用例

ユーロドルは世界で最も取引量の多い通貨ペアです。ここでも移動平均線を活用した取引例を見てみましょう。

2025年3月から4月にかけてのユーロドル相場では、50日移動平均線が重要な役割を果たしました。3月初旬に価格が50日移動平均線を下抜けたデッドクロスが発生し、その後約3週間の下降トレンドが続きました。この間、価格が一時的に反発して50日移動平均線に接近する場面がありましたが、この線が抵抗線として機能し、そこから再び下落に転じました。

また、4月中旬には5日と20日の移動平均線がゴールデンクロスを形成し、短期的な上昇トレンドのきっかけとなりました。このクロス発生後、価格は約2週間で3%近く上昇しました。

ユーロドルのような流動性の高い通貨ペアでは、移動平均線が示すサポートラインやレジスタンスラインが比較的正確に機能することが多いです。特に、多くのトレーダーが注目する50日や200日の移動平均線は、重要な判断基準となります。

株式市場での移動平均線活用例

株式市場でも移動平均線は広く活用されています。特に日経平均株価のような指数では、移動平均線が効果的に機能することが多いです。

2025年5月中旬現在の日経平均株価は、トランプ関税の影響で上下の変動幅が大きい相場が続いています。このような環境下でも、200日移動平均線は重要なサポートラインとして機能しています。4月から5月にかけて、日経平均が調整局面に入った際も、200日移動平均線付近で下げ止まり、そこから反発するパターンが見られました。

また、個別銘柄でも移動平均線は有効です。特に、業績が安定している大型株では、25日と75日の移動平均線の組み合わせが効果的なケースが多いです。25日移動平均線が75日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが発生した銘柄は、その後数週間から数ヶ月にわたって上昇するパターンが見られました。

株式市場では特に、移動平均線と出来高の組み合わせが重要です。移動平均線のクロスが発生する際に出来高が増加していれば、そのシグナルの信頼性は高まります。

移動平均線取引で失敗しないための注意点

移動平均線を使った取引で失敗しないためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

相場のレンジ相場での罠

移動平均線を使った取引で最も注意すべきは、レンジ相場(価格が一定の範囲内で上下する相場)での誤ったシグナルです。

レンジ相場では、価格が上下に振れるたびに移動平均線がクロスしてしまい、頻繁に売買シグナルが発生します。これらのシグナルに従って取引すると、小さな損失を何度も重ねることになりかねません。

このような罠を避けるためには、まず相場環境を正しく認識することが重要です。価格が一定の範囲内で上下している場合は、移動平均線のクロスだけで判断せず、レンジの上限や下限を意識した取引を心がけましょう。

また、レンジ相場では長期の移動平均線(50日や200日など)がほぼ水平になることが多いです。このような状態では、短期の移動平均線によるシグナルの信頼性は低下するため、他の指標と組み合わせるか、一時的に取引を控えるのが賢明です。

ダマシを見分けるコツ

移動平均線を使った取引では、「ダマシ」と呼ばれる誤ったシグナルに注意する必要があります。ダマシとは、一時的なクロスが発生しても、すぐに元の状態に戻ってしまうような現象です。

ダマシを見分けるコツとしては、まず「確認」の概念を取り入れることです。例えば、ゴールデンクロスが発生しても、すぐに買いエントリーするのではなく、1日から数日様子を見て、クロスが維持されているかを確認します。

また、複数の時間軸でのクロスを確認することも有効です。例えば、日足チャートでゴールデンクロスが発生した場合、週足チャートでも上昇トレンドが確認できるかをチェックします。複数の時間軸で同じシグナルが出ていれば、その信頼性は高まります。

さらに、価格のボラティリティ(変動の大きさ)も考慮すべき要素です。ボラティリティが高い相場では、移動平均線が頻繁にクロスしてダマシが発生しやすくなります。このような環境では、やや長めの期間設定にするか、クロスの確認期間を長めに取るなどの対応が必要です。

損切りラインの決め方

移動平均線を使った取引で成功するためには、適切な損切りラインの設定が不可欠です。いくら優れた手法でも、相場は常に予測通りに動くわけではないからです。

移動平均線を使った取引での損切りラインの基本的な考え方は、「シグナルが無効になるポイント」に設定することです。例えば、ゴールデンクロスに基づいて買いエントリーした場合、再びデッドクロスが発生したポイントが損切りラインの目安となります。

また、重要な移動平均線自体を損切りラインとして活用する方法もあります。例えば、20日移動平均線を上抜けたことで買いエントリーした場合、価格が再び20日移動平均線を下抜けたら損切りするというルールです。

損切りラインの設定では、リスクリワード比(リスクに対するリターンの比率)も考慮すべきです。一般的には、リスク(損切り幅)の3倍以上のリターン(利益目標)が見込める取引を選ぶことが推奨されています。例えば、損切り幅が50円なら、利益目標は150円以上に設定するといった具合です。

移動平均線と組み合わせると効果的な指標

移動平均線の効果をさらに高めるために、他の指標と組み合わせる方法を見ていきましょう。

ボリンジャーバンドとの相性

ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に標準偏差を使って上下のバンド(帯)を描く指標です。価格変動の「正常範囲」を視覚的に表現するため、移動平均線と組み合わせると非常に効果的です。

移動平均線とボリンジャーバンドを組み合わせる基本的な考え方は、「バンドの外側への動きでトレンドの発生を確認し、移動平均線でトレンドの方向を判断する」というものです。例えば、価格が上のバンドを突き抜けて上昇し、同時に短期移動平均線が長期移動平均線を上抜ける(ゴールデンクロス)場合、強い上昇トレンドの始まりと判断できます。

また、ボリンジャーバンドのバンド幅(上下のバンドの距離)は、相場のボラティリティを示します。バンド幅が狭まっている時は、相場が静かでエネルギーを蓄えている状態です。このような時に移動平均線のクロスが発生すると、大きなトレンドの始まりとなることが多いです。

逆に、バンド幅が広がっている時は、相場が活発に動いている状態です。このような時の移動平均線のクロスは、トレンドの終わりや反転を示すことがあります。

RSIとの組み合わせ方

RSI(Relative Strength Index:相対力指数)は、価格の上昇・下降の勢いを0から100の範囲で数値化する指標です。移動平均線とRSIを組み合わせることで、より精度の高い売買判断が可能になります。

基本的な組み合わせ方は、「移動平均線でトレンドの方向を確認し、RSIで買われすぎ・売られすぎを判断する」というものです。例えば、上昇トレンドの中で価格が移動平均線まで下落し、同時にRSIが30以下(売られすぎ)になった場合、好機と判断できます。

また、RSIのダイバージェンス(乖離)と移動平均線のクロスを組み合わせる方法も効果的です。例えば、価格が新安値を更新しているのにRSIが新安値を更新していない(ポジティブダイバージェンス)状態で、短期移動平均線が長期移動平均線を上抜ける(ゴールデンクロス)場合、強い買いシグナルとなります。

RSIは相場の過熱感を判断するのに役立つため、移動平均線だけでは捉えきれない「タイミング」の要素を補完することができます。特に、トレンドの一時的な調整から反転するポイントを捉えるのに有効です。

MACDとの違いと使い分け

MACD(Moving Average Convergence Divergence:移動平均収束拡散法)は、2本の指数移動平均線の差を表示する指標です。移動平均線自体を使った取引との違いと使い分けを理解しましょう。

MACDの最大の特徴は、移動平均線の「収束」と「拡散」を数値化して表示することです。これにより、移動平均線のクロスを待つよりも早くトレンドの変化を捉えることができます。特に、MACDヒストグラム(MACDラインとシグナルラインの差)は、トレンドの勢いの変化を視覚的に表現するため、トレンド転換の初期段階を捉えるのに役立ちます。

移動平均線とMACDの基本的な使い分けは、「移動平均線でトレンドの大きな方向性を確認し、MACDで短期的な売買タイミングを判断する」というものです。例えば、価格が200日移動平均線の上にあることで上昇トレンドを確認し、その中でMACDのゴールデンクロス(MACDラインがシグナルラインを上抜ける)が発生したタイミングで買いエントリーするといった使い方です。

また、MACDのダイバージェンス(乖離)は、トレンド転換の重要なシグナルとなります。例えば、価格が上昇して新高値を更新しているのに、MACDが新高値を更新していない(ネガティブダイバージェンス)場合、上昇トレンドの終わりが近いことを示唆しています。このような場合、移動平均線のクロスが発生する前に、ポジションの一部を利確するなどの対応が可能です。

初心者が移動平均線だけで始めるための具体的ステップ

移動平均線を使った取引を始めたい初心者のために、具体的なステップを紹介します。

チャートの見方の基本

移動平均線を活用するためには、まずチャートの基本的な見方を理解する必要があります。

チャートには主にローソク足、バーチャート、ラインチャートの3種類がありますが、最も情報量が多いローソク足チャートを使うことをお勧めします。ローソク足は、一定期間(例えば1日)の始値、高値、安値、終値を1本のローソクで表現します。白や緑のローソクは上昇(終値が始値より高い)、黒や赤のローソクは下落(終値が始値より低い)を示します。

チャートのタイムフレーム(時間軸)も重要です。日足(1日を1本のローソクで表示)、4時間足、1時間足、15分足など、様々なタイムフレームがありますが、初心者は日足から始めるのが良いでしょう。日足は短期的なノイズが少なく、全体的なトレンドを把握しやすいからです。

また、チャート上の水平線(サポートライン・レジスタンスライン)にも注目しましょう。過去に何度か反発した価格帯や、大きく突破した価格帯は、将来も重要な節目となることが多いです。移動平均線と合わせて、これらの水平線も意識することで、より精度の高い判断ができます。

最初に試すべき移動平均線の設定

初心者が最初に試すべき移動平均線の設定は、シンプルかつ効果的なものがおすすめです。

日足チャートであれば、20日と50日の移動平均線の組み合わせが良いでしょう。20日移動平均線は約1ヶ月の取引日をカバーし、短中期的なトレンドを示します。50日移動平均線は約2.5ヶ月の取引日をカバーし、中期的なトレンドを示します。この2本の組み合わせで、基本的なクロスオーバー戦略を実践できます。

より長期的な視点も持ちたい場合は、200日移動平均線を追加するのも良いでしょう。200日移動平均線は長期的な相場環境を判断する重要な指標です。価格がこの線の上にあれば強気相場、下にあれば弱気相場と判断できます。

移動平均線の種類については、初心者は単純移動平均線(SMA)から始めるのがおすすめです。計算方法がシンプルで理解しやすく、多くのトレーダーに使われているため、サポート・レジスタンスとしての機能も期待できます。慣れてきたら、指数移動平均線(EMA)も試してみると良いでしょう。

少額から始める練習方法

移動平均線を使った取引を実践するには、まず少額から始めることが重要です。

最初は、デモトレードや仮想取引で練習するのが良いでしょう。多くのFX会社や証券会社は、実際の資金を使わずに取引の練習ができるデモ口座を提供しています。これを活用して、移動平均線のクロスに基づく売買を実践し、その結果を記録していきます。

デモトレードである程度慣れてきたら、実際の資金を使った取引に移行します。ただし、最初は最小ロットや最小単位での取引にとどめ、資金の1〜2%以上のリスクを取らないようにしましょう。例えば、10万円の資金なら、1回の取引で損失が2000円を超えないようにします。

また、取引日誌をつけることも重要です。日付、銘柄(通貨ペア)、エントリー理由、決済理由、結果、反省点などを記録していきます。これにより、自分の取引パターンの強みと弱みが見えてきます。特に、移動平均線のどのような状態でエントリーすると成功率が高いのか、どのような状態で失敗しやすいのかを分析することで、自分に合った取引スタイルを確立できます。

まとめ:移動平均線だけでも勝てる可能性はある

移動平均線だけを使った取引でも、適切な期間設定と相場環境の理解があれば、十分に勝てる可能性があります。

シンプルな手法だからこそ、感情に左右されず一貫した取引ができるというメリットがあります。特に初心者は、複雑な指標に手を出す前に、移動平均線の基本をしっかり理解し、実践することで、相場の基本的な動きを学ぶことができるでしょう。

ただし、どんな手法にも限界があることを忘れてはいけません。相場環境によっては移動平均線が効果を発揮しない場合もあります。継続的に自分の取引を検証し、改善していく姿勢が大切です。

最終的には、自分のトレードスタイルや性格に合った移動平均線の使い方を見つけることが成功への鍵となります。焦らず、少しずつ経験を積みながら、自分だけの移動平均線活用法を確立していきましょう。


免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言を行うものではありません。FX(外国為替証拠金取引)は元本を保証するものではなく、相場変動により損失が発生する可能性があります。投資に関する最終判断はご自身の責任において行ってください。また、記載内容の正確性・完全性について万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。最新情報は各FX業者の公式サイト等をご確認ください。

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